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Made in Funabashi
"NISHI"モノづくりへのこだわり
Made in Funabashi
"NISHI"モノづくりへのこだわり

 

世界が認めるクオリティ「船橋モデル」

多くの国際陸上競技大会においてメダリスト・入賞者の多くが選択して使用するNISHIの陸上競技用器具。
選ばれるクオリティを支えるのが、自社国内工場である船橋工場。

トップアスリートたちはなぜ"NISHI"の投てき用具を選ぶのでしょうか。
開発担当者に、そのこだわりポイントを聞いてみました。

3mmの筒の上で安定する重心性能!世界基準の"NISHI"製砲丸

NISHI製の砲丸は、長きにわたって世界のトップアスリートから高く評価されてきました。昨年のブダペストでも、男子決勝の投てきのうち90%(自社調べ)で使用され、多くのアスリートと共に決勝を闘ったMade in Funabashiの砲丸。

そこには、積み重ねた歴史と数々のこだわりが込められています。

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"NISHI"の砲丸のこだわりポイント

その1:重心位置をできる限り球の中心に

競技者は砲丸を押し出す直前までその中心点にエネルギーを伝えます。

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砲丸の中心点に重心があると、エネルギーをムダなく伝えることができます。
一方、重心が少しでも偏っているとエネルギーが伝わりにくく、遠くへ飛ばしにくくなります。
また、重心が球の中心にあれば、球がどのように回転しても重心位置が変わらず、ブレを抑えて遠くまで飛ばすことができます。
そのために、NISHIでは材料となる鋳物の内部を球状の空洞にしています。さらに旋盤による切削作業で均一な厚みの球体に仕上げます。球と空洞部の中心を合わせて削るためには、切削時のわずかなブレや変化を見逃さずに確実に調整する技術が必要です。
削り上げられた砲丸は、直径3mmの筒の上に安定して乗る、すなわち球の中心から1.5mmの範囲での重心精度を実現しています。

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その2:同じ重量で複数の大きさをラインナップ

※7.260kg、6.000kg、4.000kgで対応

競技者によって、手の大きさや砲丸を持った時の好みが異なります。 NISHIでは、競技者のフィーリングに合うように、同じ重さで複数の大きさをラインナップしています。

最大径タイプでは、砲丸の中心部に外側の鋳鉄よりも比重の低い軽量素材を注入し、
最小径タイプでは、砲丸の中心部に外側の鋳鉄よりも比重の高い素材を注入するなど、
材料や工程を微調整し、同じ重量で異なる大きさの砲丸を製作しています。

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「鉄の球」というシンプルな用具だからこそ、「1cmでも遠くに飛ばしたい」という選手の想いに応えるために。
バリエーションにまでこだわり、自社工場で職人の熟練した感覚と繊細な加工技術でひとつひとつつくりあげています。

開発者の声

NISHIは今後も選手の記録に貢献できる砲丸を製作し続けます。
世界記録がNISHIの砲丸で、また更新される日を楽しみにしています!

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回転中心からの「慣性モーメント」を高める! 1.5mmを追求するハンマーへのこだわり

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ハンマーを遠くに飛ばすためのカギは、「慣性モーメント」。
「慣性モーメント」とは、物体の回りにくさや回転時の止まりにくさを示す物理量です。
「慣性モーメントが大きい」ということは、「回転しにくいが、一度回り始めたら止まりにくい」ということを意味します。

ハンマー投において、その飛距離に大きく関わるのは「リリース時の初速」と「投射角」などです。
慣性モーメントが大きい(=回転したら止まりにくい)ハンマーは、高スピードでの回転による「リリース時の初速」の最大化に有効と考えられるのです。

慣性モーメントは、重さに比例し、軸からの距離の二乗に比例します。
つまり、慣性モーメントを大きくするためには、回転の軸から遠い位置に高重量がある必要があります。
ハンマー投においては、「競技者から遠い位置にハンマーの重心がある」と言い換えられます。

NISHIのハンマーには、重心位置と競技者からの距離に関するいくつもの”こだわり”が詰まっています。


"NISHI"のハンマーのこだわりポイント

その1:ハンマーヘッドに重い「タングステン」

ハンマーヘッドには、タングステンが使用されています。
タングステンは、その語源である「重い石」の名のとおり比重が高い金属(19.25)。その「重さ」を活かしてハンマーヘッドをルール内最小化することで、慣性モーメントを高めています。

ちなみにハンマーヘッドは複数の金属で構成されており、外殻にはダクタイル鋳鉄という高い耐久性をもつ素材を採用しています。

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その2:わずかにズラしたハンマーヘッドの重心

ハンマーヘッドの重心位置にも規定があります。

<規定>
ハンマー頭部の重心は球形の中心から6㎜以内とする。
すなわち、ハンドルとワイヤーを取り外した頭部が水平に置かれた薄刃状の縁を持つ直径12㎜の筒の上で安定できなければならない

※陸上競技ルールブック 2024年度版より抜粋

NISHIのハンマーヘッドは、規定どおり直径12mmの筒の上で安定します。
しかし、直径9mmの筒ではワイヤー接合部と反対方向に落ちてしまいます。
すなわち、重心の位置は球の中心から4.5~6mmの範囲内。直径110mmの球体の、わずか1.5mmのエリアを狙った重心性能で設計・製造されているのです。

砂型からなる鋳物の内部構造や、複数金属の配合方法・割合などの製法は、長年の研究開発と自社工場でのノウハウに基づくNISHI独自の「企業秘密」です。

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その3:ハンマーワイヤーとハンマーハンドルの軽量化

前述のとおり、慣性モーメントを高めるには回転の軸からなるべく遠い位置(つまりハンマーヘッド側)をより重くすれば良いのですが、男子用ハンマーの全体重量は、ルールで定められています。
そのため、ハンマーハンドルは指をかける部分の厚みを薄くする、ハンマーワイヤーはルールで定められている限界の細さ3.0mmに限りなく近づけるなどの設計で、可能な限り軽量化しています。
さらに、ハンドル側の巻き数よりもハンマーヘッド側の巻き数を増やすことで、ハンマーヘッド側により重量がくるような工夫もされています。

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ハンマーの選び方

慣性モーメントが大きいハンマーが、すべての競技者にとって「遠くに飛ばせる」ハンマーかというと、決してそうではありません。
トップアスリートのように卓越したパワーと技術力があれば、慣性モーメントは飛距離を伸ばす大きな味方になります。
一方で、パワー・技術が未発達な初心者から中級者アスリートの場合は、「回転させやすさ」を優先して慣性モーメントを比較的抑えたハンマー(=直径が大きいもの)を選んだ方が記録につながりやすい場合もあります。

指導者のアドバイスなどを参考に、自分に合ったハンマーを選ぶようにしましょう。

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リムウェイト89%を実現する 円盤の素材と設計

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円盤の飛距離を決めるのは、初速度・投射高さの他、角速度や空気抵抗などです。
ここでもポイントになるのは「慣性モーメント」です。
慣性モーメントが大きい、すなわち回転が止まりにくい円盤は、角速度を高め、さらにジャイロ効果で安定感のある飛行を実現することができます。

NISHIの円盤には、慣性モーメントを大きくするためのさまざまな工夫が施されています。

その1:リムウェイト89%を実現

円盤外側の金属部分である「リム」に比重を大きく置くことで、慣性モーメントを大きくしています。 円盤全体の重量のうち、リムの重量が何%を占めているかという指標を、「リムウエイト」と表します。

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その2:シェルを軽量化

先述の通り、リムウエイトを増加させることが慣性モーメントのポイントです。
全体の重量が決まっている(男子用2.0kg、女子用1.0kg)中でリムウエイトを増加させるには、内側の「シェル」部分を軽量化させる必要があります。 スーパーハイモーメントカーボンⅡでは軽量かつ高強度のカーボン繊維強化プラスチックを採用しています。

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円盤の選び方

ハンマーと同じく、慣性モーメントが大きい(リムウエイトが大きい)円盤がすべての競技者に有利とは限りません。慣性モーメントの大きさで選ぶのか、投げやすさを重視するのか。自分のパワー・技術とマッチする円盤を選ぶことが重要です。

アスリートの進化と用具の関係にも注目! 世界を見据えたNISHIのやり

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シビアな既定のなか開発する「やり」

投てき種目の中でもっとも飛距離が長いのがやり投。 放物線を描いてダイナミックやりが飛んでいくようすは、とても爽快です。

一般的にやり投のやりは、ルールの範囲内で「重心が後方にあり、前方が太く、後方が細い方がよく飛ぶ」とされています。 であればそのようにつくりたくなるのですが、やりには他の3種目と比べても実に細かく厳格なルールが定められています。


長さ(※1)や重さ(※2)はもちろん、位置ごとの直径比率やグリップの幅、先端の形状までもが定められています。 例えば、「やりの先端から重心(先端から900mm~1m060)までの長さの中間点の直径は、最大直径の90%以下でなければならない。」などです。

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(※1)男子用で2m600~2m700、女子用で2m200~2m300
(※2)一般男子用が800g、一般女子用が600g

やりの開発は、この厳しい規定のなかでいかに「遠くに飛ぶ」要素を盛り込むかにかかっています。 また、この規格をクリアする高い水準で製品の品質・レベルを保つこともメーカーの使命です。

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アスリートの進化と用具の関係

やり投のルールは、1984年に1度改正されています。
きっかけは、東ドイツの選手がマークした人類初の100m超え(104m80)の投てき。
トラックに達する可能性が出てきたため、他の競技者や観客への危険性が議論されました。
その結果、それまでよりも飛距離が10%程度抑えられるように、やりの重心の位置を4cm前方に変更するルール改定が行われたのです。

現在のやり投世界記録(男子)は98m48(※2024年7月10日現在)。
世界記録更新への期待とともに、アスリートの進化と用具の関係にも注目が集まる種目です。

NISHIのやり

NISHIのやりは、競技者のレベルに合わせて複数タイプのやりをラインナップしていることはご存知でしょうか。

その1:カーボン製

上級者のためのモデルです。
「硬い」素材であるカーボン繊維強化プラスチックからなり、飛行時の振動を抑えることで遠くへ飛ばすことができます。
また、やりひもにもこだわりました。
日本ならではの「刀」から着想を得て、絹素材の「組み紐」を採用することで、滑りにくいというメリットがあります。

その2:ジュラルミン製

競技者のレベルによって選べるスーパー・ロング・ミディアムの3種類をラインナップしています。



世界のトップアスリートが競う舞台では、NISHIのやりはまだまだ挑戦者。
いくつもの試作を重ね、新たな素材や技術を取り入れながら、NISHIのやりはこれからも進化を続けます。

検定制度と承認制度

陸上競技用器具には、日本陸連の検定制度というものが存在します。
検定に合格していない用器具でいくら良い結果を出しても、公認記録として認められません。

知っているようであまり知られていない、検定制度について迫っていきます。

日本陸上競技連盟検定品とは?

日本陸上競技連盟のルールには「競技用器具検定規程」が明記されています。


競技用器具検定規程
(目的)
第1条
日本陸上競技連盟定款第2章第3条の目的を達成するために、競技会に使われる用器具が、十分信頼できるように検定を行う。
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つまり、検定合格のマークが付いた用器具は公認陸上競技会で使用でき、公認記録として認められます。

NISHIで取り扱う陸上競技用器具は、大きく「練習用器具」と「検定用器具」に分けられますが、
「検定用器具」については、商品を出荷する前にすべての商品を工場や作業所で、日本陸上競技連盟の検定を受け、合格したもののみを販売しています。

<ルールによって検定が義務付けられている用器具>

  • バトン
  • スターティングブロック
  • フィニッシュポスト
  • ハンマー
  • 砲丸
  • やり
  • 円盤
  • サークル
  • 兼用サークル
  • 足留材
  • やり投用円弧
  • 棒高跳用ボックス
  • バー
  • 棒高跳バー止金具
  • ハードル
  • 移動障害物
  • 踏切版

NISHIでは、月に1~2回の頻度で船橋工場や作業所に日本陸上競技連盟 施設用器具委員会の検定員をお招きし、厳しいチェックを受けています。
その審査項目は多岐に渡り、重量やサイズ、重心位置など、それぞれの用器具がルールで定まられた基準に範囲内であるかを隅々まで審査いただくのです。

検定の合格率は100%です。

開催される陸上競技会が正確に・公正に開催されるよう、高い精度で日々のモノづくりに励んでいます。


海外製の投てき用具を輸入して販売する場合も、NISHIの船橋工場で検定を受けることになります。
検定前に確認をし、製品に不具合があれば受検をしないため、高い水準をキープすることができています。

WA承認品とは?

NISHIの製品の中に藤色の丸いシールが貼られている商品がいくつか存在します。 そのシールがWA承認品の証しです。

WA承認品とはいったい何なのでしょうか。

World Athleticsが発行している、COMPETITION AND TECHNICAL RULES 2024 Edition に、「World Athletics certified」というワードがしばしば登場しています。

例えば、以下のように使用されています。

General Conditions - Throwwing Events Official Implements
31-1
In all World Rankings Competitions, the implements used shall comply with current World Athletics specifications.
Only World Athletics certified implements may be used.

World Athleticsが主催する競技会において、使用する投てき用具はWorld Athleticsが認めたものでなければならいという一文です。
これが、いわゆる「WA承認品」というものです。

WA承認事務局へ製品のサンプルを必要書類と合わせて送ることで審査が行われ、世界大会で使用するにふさわしいと認められたものが「WA承認品」として認定されます。

WA承認制度が始まったのは1999年。日本陸上競技連盟の検定制度が始まってしばらくたってからのことです。

2024年現在、日本国内で投てき用具がWA承認品に認定されているのはNISHIのみ。

※ NISHI製の用具でWAの承認を得ているものは、2024年4月現在で53品番 。

アスリートとともに世界で闘うために必要不可欠な、製品開発の最終工程のひとつです。