Accel Track Clubのメディシンボールトレーニング
Accel Track Clubの
メディシンボールトレーニング
Medicine Ball Training
メディシンボールトレーニング
スタビリティを鍛えよう


月刊陸上競技2022年1月号掲載
「メディシンボールを使えば、自分の身体を自分でコントロールする力が身につく」と話すのは、小学生から大人まで幅広く指導して陸上競技の楽しさを伝える「Accel Track Club(アクセルトラッククラブ)」の大西正裕代表。
自分の身体を自在に扱える能力は、陸上競技はもちろんのこと、あらゆるスポーツで役に立つ重要なスキルだ。アクセルトラッククラブではあえて1㎏という軽いメディシンボールを使ってトレーニングをしている。今回はその方法を紹介しよう。
大西 正裕 氏
<プロフィール>
■ Accel Track Club代表
■ 1997年12月17日生まれ
■ 千葉・松戸六実高校→順天堂大学→順天堂大学大学院
学生時代から400mに取り組み(自己記録50秒18)、大学院修了後の2012年4月にAccel Track Club(アクセルトラッククラブ)を発足。「夢の続き...」をスローガンに、生涯にわたって目標に挑戦するチームとして活動している。


「思いどおりに動かせる」のが大事
ジュニア時代に鍛えておきたい能力はたくさんありますが、そのうちの1つが物体に力を伝える(加える)能力です。「物体」というと何かモノを使う印象があるかもしれませんが、自分の身体も立派な「物体」です。片脚でバランスを取ったり、ジャンプしたり。それも力を伝える能力の1つです。簡単に言えば「自分の身体を自分の思いどおりに動かせる能力」です。そのために大切なのはコアのスタビリティ。つまり体幹部分の安定性です。
体幹の筋力的なベースはもちろんですが、体幹をどのようにとらえ、扱えるかというのがカギになると思います。だからこそ、特にジュニアの時期からしっかりと鍛えておきたいところだと感じています。


日本や世界のトップで活躍するアスリートの姿やトレーニング風景をたくさん見てきたことで、私はジュニア時代からコアのスタビリティに対するトレーニングを行うべきではないか、という考えに至りました。この夏の世界大会でも、やっぱりどんな種目でも身体ができている選手、身体が強い選手が結果を残していた印象を受けました。「身体が強い」というのは単にパワーがある、筋力があるというわけではありません。身体のバランス能力が高く、跳んだり跳ねたり、走ったり投げたり、そういう力の『基礎』ができていると感じました。
だからと言って、トップアスリートたちが身体を作るために行っているトレーニングが子どもたちにできるわけはありません。このため、トップ選手たちの動きを見て得たイメージから、育成年代に取り組んでおいたほうが良いと考えたトレーニングが今回ご紹介するものになります。
遊びがトレーニングになる
体幹のトレーニングは地味なものが多く、筋力トレーニングのように成果がすぐに目に見えたり感じられたりするものではありません。そういうものを子どもたちに継続させるのは難しい。でも、子どものうちにある程度コアに対する意識を高め、身体を自由自在に操る能力を身につけさせたいのです。
そこでメディシンボールを使ってトレーニングをしようと思いました。いわゆるトレーニングというよりも、どちらかと言えば『ちょっと重たいボール遊び』という感じです。自分の身体を動かすだけよりも、少し重たい負荷があったほうが身体を使う感覚や、身体の中心から力を出す感覚がつかみやすくなります。


そして、使うメディシンボールもいろいろ試していく中で、当たっても痛くない、大きめのソフトメディシンボールで、重さも1㎏が良いという結論に至りました。
ソフト素材の良いところは、当たってもケガをしにくいこと。直径が35㎝と大きいのは、身体全体を使って投げたり受け止めたりするので、体幹の安定性を強化するのに最適なのです。


最も大切なのが重さでした。まだ子どもですから、重すぎたらケガはもちろん、身体がボールに振り回されてしまってトレーニングどころではなくなってしまいます。反対に軽すぎると〝手投げ〟になってしまって身体を使う感覚が養えません。2㎏だと重すぎて小学校低学年の子どもたちだと振り回されてしまうとわかったので、1㎏がピッタリでした。
1㎏だと投げたり受け止めたりする時に、子どもでも身体が振り回されることもありません。それでいて投げる時には全身を使って投げる感覚がわかりやすい。だから、身体の中心を使ってモノを使えるようになっていきます。
それに、子どもたちも大きくてちょっと重たいボールを使うのは楽しいみたいで、トレーニング以外の時でも自分たちで投げて遊んでいます。結局、走り回ったり投げたり受け止めたり、そういう遊びこそ子どもの身体を鍛えるのに最適なのです。今回紹介するトレーニングは、子どもたちが遊び感覚で楽しみながらできるものばかりですので、ぜひ気軽にチャレンジしてみてくださいね。
メガソフトメディシンボール(1kg)を使った身体を使いこなすトレーニング
①ボックスメディシンボールフロント投げ
膝くらいの高さのボックスから軽く跳び降りて両脚で着地したら、地面からの反発を使ってメディシンボールを前に向かって大きく投げます。
ポイントは足裏全体で着地することと、着地した時にはハーフスクワット程度に腰を落とし、股関節の屈曲と伸展を使ってボールに力を乗せることです。決して〝手投げ〟でメディシンボールを投げないこと。最初は上方向に投げるところから始めて、徐々に前方向に投げるように練習してもOKです。
※NT6903プライオボックス屋内用を使用
②乗り込みメディシンボールプッシュ
膝くらいの高さのボックスに片脚を乗せ、後ろ脚で地面を蹴って前に重心を移動させながらメディシンボールを前方に、チェストパスの要領で投げます。
台に乗せたほうの膝は90度に曲げ、力を真下に加えてお尻でしっかりと台を踏みつけます。そして、後ろの脚で地面を蹴って前に重心移動する時も、前脚の膝は90度の形のままで台を踏みつけ続けるのがコツ。お尻を使って台を踏み込むように意識すると、前に重心移動した際に地面から強い反発力をもらえる感覚がわかりやすくなります。
※NT6903プライオボックス屋内用を使用
③レッグカールパス
2人1組でハムストリングスに刺激を入れる練習です。1人がうつ伏せで寝転がり、もう1人は寝ている人の脚のほうを向いて、胸あたりに立ちます。立っている人は、寝ている人のお尻あたりから踵に向けてメディシンボールを転がしましょう。寝ている人は、転がってきたメディシンボールが踵まで来た時にレッグカールの要領で膝を曲げ、メディシンボールをパートナーに蹴って渡します。
膝を曲げるタイミングが早いとうまくボールを返せません。メディシンボールの重さを感じることで、ハムストリングスを使う感覚がわかりやすくなります。
④メディシンボールアルティメット
4、5人ずつのチームに分かれて行います。メディシンボールを持っている人は動いてはいけないため、その場から両手で味方にパスを出します。パスを受け取る側はできればノーバウンドで受け取り、またその場から動かずに次の人にパスします。それを繰り返して相手陣地のコートラインを越えたところでノーバウンドでキャッチできたら1点獲得、というゲーム要素の強いトレーニングです。
縦横無尽に走り回ることはもちろん、メディシンボールをいろんな角度から受け取ったり投げたりすることで、体幹を安定させる感覚がつかめます。3点先取とか、5分間で何点取れるかなどのルールを決めてやってみましょう。運動量も多いので、特に冬季トレーニングのウオーミングアップに最適です。
メガソフトメディシンボール


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