スプリント種目 
勝敗のカギは二次加速局面!?
RP+SPRINTで二次加速局面を極める


大西 正裕

<プロフィール>

■ Accel Track Club代表

■ 1997年12月17日生まれ

■ 千葉・松戸六実高校→順天堂大学→順天堂大学大学院


学生時代から400mに取り組み(自己記録50秒18)、大学院修了後の2012年4月にAccel Track Club(アクセルトラッククラブ)を発足。「夢の続き...」をスローガンに、生涯にわたって目標に挑戦するチームとして活動している。

大西 正裕大西 正裕

「100m走は最大疾走速度と高い相関関係にある」ということが以前から報告されていて、多くの陸上関係者の中で共通認識となっていることと思います。

一方で、最大速度の高さは100mのパフォーマンスと高い相関にはありますが、必ずしもパフォーマンスの決定因子ではないということも分かっています。

24年のパリ男子100m決勝で最も高い速度を記録したのは4位のシンビネ選手(南アフリカ)で、60m~70mの10mの区間を0秒81で走りました。優勝したライルズ選手(アメリカ)は0秒82でした。

しかしながら、70m~100mの30mの区間タイムはライルズ選手 2秒51 、シンビネ選手 2秒55とライルズ選手が上回り、男子100mを制しました。

高い疾走速度を得るとともに、ゴールまで高いスピードを保持する能力も求められます。

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言うまでもなく、トップスピードはスタートからの加速局面を経てつくり出されます
理想的な加速局面をつくり出すことができれば、より高いトップスピードを生み出すことができ、トップスピード以降の減速も最小限に抑えることが可能です。

つまり、加速局面を制する者が100mを制すると言っても過言ではないのです。

下の図は、世界一流、日本一流、高校生トップ、および小学生トップ競技者における100m走の疾走スピード曲線を表したものです。

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最初の0m~20mまで、急激にスピードが立ち上がるところ(一次加速局面)は、どの世代にも共通して出現します。

その先の二次加速局面は競技レベルによって大きく変わってきます。
トップ選手であればあるほど、二次加速局面の傾きは大きく、またその距離は長くなっています。

このことから、スプリント種目のパフォーマンスの分かれ目は二次加速局面にあると、私は考えます。

加速局面トレーニングにおけるRP+SPRINTのメリット

加速局面のトレーニングの代表として、レジステッド走があげられます。

スレッド(そり)やチューブなどを活用することが多いですが、RP+SPRINTというギアを活用すると、より効果的に加速局面のトレーニングを行うことが可能です。

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環境要因に関わらず一定の負荷がかけられる

スレッドにウエイトを載せて引っ張るトレーニングでは、サーフェスの表面が削れてしまい、競技場によっては使用が禁止されている場合がありますが、RP+SPRINTでは本体が固定されているため地面を削る恐れがない点が魅力です。

また、本体が固定されているということから、グラウンド状態などの環境要因に関わらず一定の負荷をかけることができるという点も大きなメリットです。
常に同じ負荷でトレーニングができるということは、正確なトレーニングのモニタリングにもつながります。トレーニング計画やパフォーマンスを評価していくうえでも重要な点になります。

局面に応じた負荷を設定しやすい

レバーで負荷を設定することができるため、その選手に応じた負荷設定が容易に行えます。

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スターティングブロックから負荷をかけることができる

スタンディングスタートからスタートした際の体勢と、スターティングブロックからスタートした際の体勢では背中の決まり方や股関節の角度、足首の角度などに差が生じてしまいます。
RP+SPRINTでは、今までは困難だったスターティングブロックを使用したレジステッド走が行えるという点にもメリットを感じます。

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スキップ、バウンディング、ホッピングなどのドリルでも使用可能

ランだけではなく、スキップやバウンディング・ホッピングなどのドリルでも十分使用可能です。
パワートレーニングとして、RP+SPRINTを装着した状態での五段跳やホッピングがどれくらい跳べるようになったのか、というのが一つパワーの評価となります。
その評価とスプリントとの相関関係を調査するのも面白いかもしれません。

自身の負荷に応じた速度、パワーの臨界点を知ることができる

負荷をレベル1から徐々に上げていった際に、競技レベルに応じてタイムやフォームが大きく乱れる負荷レベルがあると思います。そのレベルをモニタリングすることが、自身の加速の出来栄え評価につながると思います。
例えば、各レベルの30m走のタイムや20m~30mの区間タイムを計測し、どのようにスピードが変化していくかを計測することで評価が可能です。

速度が立ち上がっても同じ負荷をかけることができる

スレッド、チューブなどのレジステッド走では、牽引者の力加減や、1歩1歩のおもりによって引っ張られるブレーキなどをストレスに感じてしまう場合もあります。
RP+SPRINTはマグネットによって一定負荷をかけることが可能です。

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ウォーミングアップなどのシーンではチューブを活用する方がやりやすい場合もありますが、トレーニングとしてレジステッド走を行う場合には、一定の負荷をかけ続けられるRP+SPRINTは非常に便利です。

まとめ

今回、「100m走の二次加速局面の重要性」について解説をしました。
加速局面のスキルを磨くことは、100m走のパフォーマンス向上に直結します。
RP+SPRINTを活用して加速局面のスキルを磨き、スプリント種目を制しましょう。